6月11日より開催中の京都アニメーション「私たちは、いま!!特別展」に行ってきました。
場所は立川のオリオン書房ノルテ店です。
【京アニ】本日より「私たちは、いま!!特別展」開催です!
— オリオン書房 ノルテ店 (@Orion_Norte) 2021年6月11日
展示作品は
『小林さんちのメイドラゴン』
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』
『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の3作品!結構あります!第1部は6/11〜7/1まで!→ pic.twitter.com/EgqlCwWoYG
実は立川にはオリオン書房が4店舗もあります。
今回展示をやっているのはノルテ店ですのでお間違いのないよう。
ノルテ店は多摩都市モノレールの立川北駅のすぐ近くです。JRで来る方は少し歩くかと思います。
さて、肝心の展示についてです。
今回は原画を紹介するとともに、素人目線で恐縮ですがそこに書かれているメッセージについて注目をしていきたいと思います。
はじめに
今回の展示は写真撮影・SNS投稿OKです。
親切なことに張り紙まで。
まあ、普通の本屋の一角で展示をやってるので常識の範囲内で、ということですね。
そして展示内容は以下の3作品になります。
展示数は約60点だそうです。
それでは早速見ていきましょう。
「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」
こちらの作品については以前感想なんかを書いたりしているのでもしよかったらご覧ください。
60年後のヴァイオレット・エヴァーガーデンの世界
まずは映画の冒頭に出てくるアンの温室のカットです。
こちら冒頭10分の動画が公式より公開されているので比較。
そんなに大きく変更されているようなところはないですね。
ただ、原画ではとても細かい指示が出されているのが分かります。
アンの家 60年後サンルーム 冬のはじめ(昼過ぎ晴れ)
ここ、実際の映像でも冬のキンっと冷えて冴え冴えと晴れた空気が感じられました。
そしてヴァイオレットちゃんたちが生きていた時代より60年後、と考えるととても感慨深いです。
ヴァイオレットちゃんもギルベルトもアンも、もういないけれど手紙は残り続けているというこの作品の象徴のようなシーンだと思います。
窓の開閉と光源についての指定。
実際の映像を見ると確かに窓がちゃんと開いています。ただ原画の時点だと窓が開いているのは一か所ですが、映像では二か所開いてますね。
このたった1枚の原画に本当にこだわりが詰め込まれているんだなあ、と感動します。
郵便博物館をデイジーが訪ねるシーン。
公開当時少し話題になっていましたが、この老女、ネリネ嬢です。
ちゃんと「老ネリネ」の文字が…!
C.H郵便記念財団 郵便博物館にデイジーが訪ねていったときにいた老婆。あれは C.H 郵便社の受付で働いていたネリネです。実はデイジーが声をかけたときに居眠りしてるんですよ。そういう細かいところのお芝居も絵を描く人たちが頑張って作っています
TVシリーズでは肉食系女子な印象でしたが60年の時を経てすっかり落ち着いた女性になりました。
エカルテ島にて
今回の展示はエカルテ島のシーンのものが多かった気がします。
まずはこちら。
全視聴者が共感したと思われるホッジンズの
「おおばかやろおおおおおおおおおおおおお」
のシーンです。
子安さんの演技もさすがでした。
公式ファンブックでギルベルト役の浪川さんもこのように語っています。
(浪川)これまで子安さんと共演させていただいた中で、あの声の出し方は見たことがなかったですし、全身で叫んでいるようでした。
引用:VIOLET EVERGARDEN the Movie -The Life of Violet Evergarden- より
そして注目したいのがここです。
「涙・水滴」とあります。
雨に濡れていて分からなかったんですが、ここのホッジンズは泣いていたんですね。
感情の高ぶりがよく分かります。
次は、劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンの最大の盛り上がりとでも言うべきシーンの原画です。
ヴァイオレットちゃんとギルベルトが再会する海でのシーンです。
動画様すみません
このcutの表情のニュアンス超ていねいに、せんさいにひろってください。
線の抑揚もお願い致します。
ここのシーンにどれだけ力を入れているか分かる指示です。
また、線にあえてゆらぎを入れる、というのがギルベルトの心のゆらぎを表現しているようで良いです。
映画見た方は分かると思いますが、ギルベルトが最後ヴァイオレットちゃんを追いかけるシーン、めちゃくちゃ勢いよく転んでましたよね。
それはもう心配になるくらいごろんごろんと。
こちらはその汚れや砂なども細かく描写されているのが分かるカットです。
本当に細部へのこだわりがすごいです。
このヴァイオレットちゃんの涙も美しいですね。
「耳」ってちゃんと書いてあるのがちょっとほっこり
とにかく海のシーンは最高でした!
「愛してる」の意味
こちらは原画にも書いてある通り、TVシリーズ1話のラストシーンなのですが、展示自体は劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンのコーナーにありまして、劇場版の回想のカットかと思われます。
少女兵時代のヴァイオレットちゃんが少佐に「愛してる」と言われたシーンです。
少佐がいなくなりそうなのがつらいと同時に「愛してる」が分からないというニュアンスを込めて!
感情のきわにいるかんじで!
ビミョーなニュアンス拾って動画作業お願い致します!
書いてある指示の熱量からも分かりますがかなり力が入っています。
そもそも物語上めちゃくちゃ重要なシーンです。
この言葉がきっかけでヴァイオレットちゃんの長い旅が始まると言っても過言ではありません。
そして制作者が意図している通り微妙な感情のゆれがヴァイオレットちゃんの表情からも見事に表現されています。
TVアニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」
展示の構成上、劇場版とTVアニメが分かれていたのでこちらのブログでも分けてご紹介します。
第10話「愛する人は ずっと見守っている」
TVシリーズ第10話は劇場版にも繋がるアン・マグノリアのお話です。
アンとアンの母のシーンから1枚。
こちらも細かい指示がされているのが見て取れます。
目の処理について
で、ちょっと注目したいのがこちら。
仕上げ様へ
鼻の頭にブラシが入るキャラがいます。ロング時は省略されます。
アタリはペイント時に消してください。(ブラシ色でのペイントは不要です。)
ヴァイオレット・エヴァーガーデンのキャラクターって鼻の頭にちょっと赤みのあるキャラとそうじゃないキャラがいますよね。
他の京アニ作品ではあまり見ない特徴です。
メインキャラクターでいうとヴァイオレットちゃんとエリカがそうです。
カトレアとアイリスには入ってないんですよね。あと男性陣(特に大人)は入ってない印象です。
原画のアタリからも分かるように、アンには入っています。
比較的年齢の低いキャラ、もしくはかわいい系の女性キャラには鼻の頭にブラシが入っている気がします。
カトレアとアイリスは大人の女性だから…!(フォロー)
劇場版の60年後にはこの小さかったアンももう亡くなってしまっていない、というのがあらためて感慨深いです。
第5話「人を結ぶ手紙を書くのか?」
公開恋文のお話。こちらもTVシリーズでは屈指の名エピソードです。
シャルロッテとアルベルタの関係性がいいんですよ
こちらは花嫁姿のシャルロッテです。
ちょうど公式サイトのストーリー紹介のところにこのシーンがありましたので引用させていただきます。
シャルロッテが頭に挿しているのは白い椿の花です。
5話では白い椿が印象的に使われております。
白椿の庭でダミアンに出会い、嫁ぐ時にはアルベルタに白椿を髪に挿してもらいました。
白い椿の花言葉は
- 「完全なる美しさ」
- 「申し分のない魅力」
- 「至上の愛らしさ」
だそうです。
シャルロッテはきっとこの花言葉にふさわしい女性になることでしょう。
小林さんちのメイドラゴン
最後はこちらの作品から。
2021年7月には2期の「小林さんちのメイドラゴンS」も始まるので要チェックです!
才川とカンナちゃん
幼女にしていろいろと"目覚めて"しまっている才川。
どれも才川の表情がひどい。(誉め言葉)
ヴァイオレット・エヴァーガーデンと比べると線が少なくシンプルな印象です。
そして汗の描き方が少し特徴的。
ちゃんとカゲまでつけています。細かい!
今回メイドラゴンの原画は特にこの二人のものが多かったような気がします。
カンナちゃんはかわいいからね!しょうがない!
カンナちゃんみたいな少しマスコット的で一挙手一投足がかわいい幼女のキャラクターを描かせたら京アニの右に出るものはいないと思います。
最後に
いろいろな原画を紹介しましたが、何より私が好きなのはだいたいどの原画にも入っている「よろしくお願いします」の一言です。
これを見ると、様々な人の手を経て、リレーのようにバトンを繋いで一つのアニメーション作品が完成する、ということを実感します。
そして今回紹介させていただいた原画はほんのごく一部ですのでぜひ実際に足を運んでみてはいかがでしょう。
最後まで読んでいただいてありがとうございました!