11月12日、金沢の石川県立音楽堂コンサートホールにて「石川ゆかりの文学朗読劇」が開催されました。
米澤先生のトークショーと朗読劇『金曜に彼は何をしたのか~本と鍵の季節より』があるということで金沢まで行ってきました!
早速レポを載せたいと思います。
第3部のレポの分量が段違いですが、そこはまあ温かい目で見ていただいて…1部、2部も素晴らしかったです!
⚠ネタバレしていますご注意ください。
⚠汚いメモ書きと個人の貧弱な記憶力をもとにしているため細部等違う場合があります。あくまでも参考程度にどうぞ。
⚠一部敬称略しています。
第1部 「若者による詩・エッセイ」の表彰と朗読
若者を対象に詩とエッセイを募集して、そちらの受賞作品の表彰と寺島拓篤さんによる朗読がありました。
なぜ寺島さんかというと、石川県出身の声優さんだからだそうです。(知らなかった!)
朗読されたのは以下の四作品。
- ワンルームの音度
- 飛花落葉
- おじいちゃんの笹寿し
- 暖簾の実在
方言や多彩な声色を使い分ける寺島さんすごかったです。
個人的に「暖簾の実在」というエッセイがとてもじーんと来ました。
参加者は受賞作の載った冊子を頂いたものの、オンラインでは公開されていないのかな?
第2部 高校生と声優が共演する朗読劇
高校生キャスト6名と寺島拓篤さん、森川智之さん、中村千絵さんによる泉鏡花の「外科室」(原作:『本当にさらさら読める!現代語訳版 泉鏡花 [観念・人世]傑作選』)の朗読劇です。
プロの方はやはり声の通りが違うな、と思ったものの高校生6名の朗読も素人からすると遜色なく素晴らしかったです。
朗読劇終了
(寺島)まる3日間高校生の子たちと練習をして、何度も金沢には足を運びました。高校生の成長がすごい。
(中村)日常とはかけ離れた芝居だったので、すごく難しかったのではないでしょうか。ただ、練習を重ねる毎にみんな上手くなっていった。
(森川)東京での研修を直接指導して、東京では「大丈夫か?」となったけど今日は本当に素晴らしかった。ワンチームとしてまとまってできた。
※高校生キャスト6名は森川さんが代表をつとめる東京のアクセルワンで研修も行ったそう。
(司会)森川さんもかつて高校生の時声優を目指していたんですか?
(森川)実は学校の先生になりたかったんです。ただ、人と話すのが好きで声優を目指しました。
第3部 豪華声優陣による朗読劇
米澤穂信×寺島拓篤トークショー
今さらですが、果たして図解する意味があったのか…とりあえずお二人のトークショーの配置はこんな感じ。
あとお花も置いてあった気がする。(うろ覚え)
話は戻りますが、米澤先生と寺島さん登場時にちょっとした事件(?)がありました。
なんと、司会の方が米澤先生を「米沢穂積さん」と紹介。
最初はいやいやまさかと思ったんですが、3回くらい「米沢穂積さん」と紹介していたので聞き間違いではないと思います。
聞いてるこちらははらはらしたものの…先生も気を使ったのか「米澤です」としかご挨拶しませんでした。
しかしこの「米沢穂積」、ファンにとってはあながち間違いでもないという難しい問題が…笑
司会の方もこれを知っていてあえて「米沢穂積」呼びした可能性…!?
「外科室」の朗読劇の感想
(米澤)大丈夫かな?と少し心配でした。それを職業にしている人と素人では力量に差がある。残酷な違いが際立ってしまうのでは、と思いました。
ただ、プロの方も歩調を合わせてくれたのかもしれませんが、本当に素晴らしかった。
また、鏡花の「外科室」も素晴しい。鏡花は幻想文学の巨匠で、この作品は人の思い・観念が象徴的な形で出てきます。
朗読劇ではそれが強調されていました。
むしろこれからの朗読劇で鏡花と私のほうにこそ残酷な差が出てしまうのではないか。
(寺島)みんなの成長を見守ってきた身としては特に米澤先生にそう言ってもらえてとても嬉しい。
お二人は今日初めてお会いしたそうですが、実は少し繋がりがあるとか?
(寺島)ある意味プライベートな繋がりというか…米澤先生原作のアニメ「氷菓」のヒロインが妻なんです。(佐藤聡美さん)
家庭内でもそわそわしてました。「米澤先生とお話できるのいいな〜」って笑
(米澤)その説はどうもお世話になりました笑
氷菓のアフレコで印象に残ったこと
(米澤)録音ブースに入る佐藤さんは主演らしくとても華やかでした。
ただ、学校のガヤを収録する時に音響監督が「スタート」と言った瞬間、主演だったのがその場になじんだ。目立たなくなるんです。
音響監督が「もう少し進学校よりで」と言った時も何か相談をするのかと思ったらすぐに「はい、スタート」となった。同じ絵のはずなのに即座にみなさんの雰囲気が変わった。音世界を作るとはこういうことか、と思いました。
(寺島)主演関係なくガヤはやりますね。お店の人や大人もいれば子どももいる。何の相談もなくやるのでさじ加減が難しいです。
ただ、みんなどんな場にしてやろうかとわくわくはしてます。そこに着目する米澤先生もすごいです。
やはりいつも日常の出来事をヒントにしているのか?
(米澤)有栖川有栖先生のお話なんですが、取材旅行に行った時に普通の人だったらバス乗り場やタクシー乗り場をまず気にしますけど、「あそこに面白い看板がある」などちょっと目のつけどころが違いました。
例えば…寺島さんのシャツ、変わってますよね?(1部・2部では服装が上白シャツ下黒ズボンだったのが、3部で上下黒に変わっていた)
米澤先生に言われるまで気がつかなかったわたし
(寺島さんへ)音の面で人間観察をしていることはあるか?
(寺島)人間を演じる上で必要な「呼吸」、普段は意識していないけれど時々意識して演技にフィードバックしてます。アニメを見て参考にすることもあります。現実との境界線が難しい。
本の世界でも現実との境界線を意識することは?
(米澤)ミステリは論理性でできています。それを突き詰めると現実から離れてしまう。それを「ミステリ時空」とも呼びます。
リアリティラインの設定は作品ごとに変えています。現実ではリアリティを無視する出来事なんていろいろありますが、小説でそれをやってしまうと「不条理」になってしまいます。
寺島さんの「呼吸」の話に興味津々の先生
(米澤)先ほどの呼吸のことなんですが、身体の大小で変えることもあるんですか?
(寺島)気にするようにはしています。筋肉量の違いとか…。
ここから映画の吹き替えについての話題に
(米澤)喋りはじめと終わりが分からないのに合わせているのを見て「そんなバカな…」と思います笑
(寺島)それこそ弊社森川がとても得意にしてますよ笑
ただ、脚本の方が基本的には合うようにしてくれています。
朗読劇の原案についての思い
(米澤)…締め切り間に合うといいな、という思いでした笑
アリバイ崩しのミステリになります。背景にいるのが高校生で、古典部シリーズや小市民シリーズに比べで彼らは「現代」の子たちです。
ひと足早く大人にならなきゃいけないと思っている。それ描けていると嬉しいです。
(寺島)ご本人を前にして読むという緊張感があります。ご満足いただけると幸いです。
ぜひ、原作も読んでください!
朗読劇『金曜に彼は何をしたのか~本と鍵の季節より』
あくまでも『本と鍵の季節』は「原案」という扱いで、脚本は水橋文美江さんが担当されています。
ただ、オリジナルの要素もありましたが、基本的にトリックに関わる部分は原作通りでした。
原作にない会話劇もコミカルで、堀川と松倉の軽妙でシニカルなやりとりがちゃんと再現されていて、声優さんも脚本の方も原作理解度がすごかったです。
舞台上には学校の机と椅子が三つずつ上の図のように置かれていました。
正面から左が日野さん、奥が葉山さん、右が寺島さんで場面によって立ったり座ったりしながら朗読をされていました。
そして、このお三方以外に今回演出を担当されていた板倉光隆さんも出演されていたのですが、近所のばさん・横瀬先生・来来々軒の店主など主に脇役を一人で演じ分けていてすごかったです。
朗読劇と原作との違い
㊟以下、真相に触れています。原作未読の方はご注意。
↓↓↓
⚠ネタバレ⚠
原作では発車メロディからお兄さんが「北八王子駅」にいる、と判明するのですがなんと今回の朗読劇では「東京駅」に変更されていました。
そこから金沢に向かった…という設定。
さすが金沢開催。
それに伴い植田のお父さんが住んている場所も「西東京市」から「金沢」になっています。
来来々軒のサービス券も原作では「夜」だったのが「15:00〜17:00」という明確な時間に変わりました。
朗読劇で植田のお兄さんが辿ったルートは以下の通り。
東京駅➡(はくたか)➡金沢駅➡来来々軒・金沢外科病院➡金沢駅➡(はくたか)➡東京
※メモ書きに「15:20金沢駅着、21:16東京駅着(はくたか)」と書いてあったんですが、調べてもこの時間のはくたかはなく…まあだいたいこの時間あたりという参考程度に。
最後に植田とお兄さんのやり取りも追加され、少しうるっとくる展開に。
さらに新聞の三面記事の訃報など「昔話を聞かせておくれよ」と「友よ知るなかれ」ネタも入ってておお〜となりました。
最後の挨拶
(葉山)石川は今回で2回目です。1回目も寺島さんとご一緒させていただいて…。
ただ、ミステリ作品の朗読は初めてです。原作もぜひ読んでください!
(日野)今年4月にプライベートで金沢には来ました。この作品は会話劇が面白く引き込まれますね。
(葉山)(原作の)続きがあるんですもんね。
(寺島)続き気になりますよね〜。
(日野)また来年やる?笑
\客席から拍手/
(板倉)高校生の朗読劇もこの朗読劇もとても良かったです。
(寺島)お足元の悪い中ありがとうございました。原作とは少し違っているのでぜひそちらも読んでみてください!
販売ブース・グッズ
◆原作小説
講演終了後、米澤先生の小説の販売がありました。
『本と鍵の季節』、『栞と嘘の季節』に加えて『追想五断章』も置いてありました。
3冊とも集英社の作品ですね。
◆ポスター
講演終了後ポスターも配布されていました。
一般的なポスターのサイズなので、そう、でかい。
もちろん輪ゴム等もなく、持ってきていた髪ゴムでとりあえず丸め、カバンにも入らなかったので抱えて帰りの新幹線乗りました。(もらわないという選択肢はない)
◆公式ガイドブック
今回の文学朗読劇を含む、「いしかわ百万石文化祭2023」の公式ガイドブックが配布されていました。なんと米澤先生のメッセージも掲載されています。
現地いけないよ~💦という方、安心してください!電子ブックもありますよ!
※米澤先生の記事はp41~42
以上、貴重な催しをありがとうございました!
金沢はご飯が美味しくてとても良いところ。