ふせったーに掲載していたものをブログに集約させるためにお引越ししました。
※2020年12月12日に公開したものを加筆修正しています。
※ネタバレあります。ご注意ください。
はじめに
〈小市民〉シリーズの冬期限定を待って幾星霜……。
気がつくとなぜか都市名＋お菓子シリーズが始まっていた。
先ごろ発売された『巴里マカロンの謎』 で一旦はくぎりかと思いきやまさかの最新作が発表されましたね。その名も「桑港（サンフランシスコ）クッキーの謎」。
早速感想なんかを書いていきたいと思います。
冬期はいずこ…
「桑港（サンフランシスコ）クッキーの謎」
「ミステリーズ！」104号に掲載された短編です。現時点（2021年5月現在）では文庫・単行本未収録です。
まず、全国の小鳩君と小佐内さんファンの皆様、お待たせいたしました！ ほぼ毎年12月号の恒例となっている、米澤穂信さんが贈るシリーズ最新作が登場です。
その名も、「桑港（サンフランシスコ）クッキーの謎」。サンフランシスコ生まれのクッキーといえば、フォーチュンクッキー。ところが、今回ふたりが遭遇したのはスイーツではなく、美術作品だった！？ その不思議な謎については、ぜひ本編でお楽しみ下さい。Webミステリーズ！ : 「小鳩君と小佐内さんの活躍再び！ 米澤穂信シリーズ最新作掲載」号です。『ミステリーズ！vol.104』
桑港（サンフランシスコ）クッキーというのはずばりフォーチュンクッキーのことらしいです。割ると中からおみくじがでてくるやつ。
某AKBの歌が有名ですがあれももう8年前なんですね……。
フォーチュンクッキーがサンフランシスコ生まれというの初耳
ニコラ・ド・スタール
さて、作中にはニコラ・ド・スタールという画家が出てくるんですが、なんと実在の画家です。
完全に創作かと思ってました。
日本だと名古屋のメナード美術館に所蔵があるそうです。上記サイトよりコレクションを見ることができます。
ただ"Antibes"とつく彼の作品は数あれど、いくら調べても作中の"The Square Fort in Antibes"という作品は出てこなかったです。
Antibes（アンティーブ）
南仏の小さな都市。
The Square Fort
アンティーブにあるカレ砦の英語名称……らしい。ただし作中では「方形要塞」と訳されている。
Henry III had four bastions added in 1565, whereupon it became Fort Carré (the squared fort). The construction has been finished 25 years from its beginning.
まあ普通に考えるとアンティーブのカレ砦を描いた作品だと思うんですが、なにせいろんな画家が同じ題材で描いてたりするんですよね。
ちゃんとスタールの画集とか確認しないと分からないかも。情報求む。
追記 2021/5/31
フォロワーさんから"Le Fort Carré d'Antibes, 1955"では？という情報をいただきました。たしかにそれっぽい……！
ありがとうございます。
彼のアンティーブの絵はどれも南仏のイメージとはかけ離れた寒々しく寂しいという印象を受けます。
ロシア生まれらしいのでむしろイメージ的にはそちらを彷彿とさせます。
"フォーチュンクッキーの殻の部分"にあたる絵になぜをこれを選んだのか。
少し気になります。
小佐内さんのかわいかったところ
突然なに？という感じですが、今作でも小佐内さんがいちいち可愛かったので個人的可愛かったポイントを挙げたいと思います。
小佐内さんかわいいよ小佐内さん
エカテリーナ二世の謎
「小佐内さんのタイプってどんな人？」
ミステリーズ！vol.104 『桑港クッキーの謎』より
作中唐突に差し込まれた小鳩くんからの問いかけ。
いやもうびっくりですよ。
なぜタイプを聞いたんだ。（ぐるぐる）
小鳩くんと小佐内さんの間に甘さは全くないんですが、たまにどきっとするようなやりとりをするようなことがあります。
そして小佐内さんの答えはよりにもよって「エカテリーナ二世」。
謎が深まる……！
エカテリーナ二世は恋多き女で裏で暗躍するタイプでもあったみたいだったみたいですが何かの暗喩でしょうか。
米澤先生の教師に対する認識
古典部をはじめ米澤作品を読んでいてたびたび思うんですが、米澤先生は教師というものに対して何の希望も期待も持っていないんだな、と感じることがあります。
今作でも二人の教師が出てきます。
一人は悪意のない教師
一人は悪意のある教師
悪意のあるなしに関わらず、小鳩くんはこの二人をややシニカルに見ています。
ある意味教師も一人の人間であり決して聖人ではないというのを表現したとてもリアルな描写であるともいえます。
私もどちらかというと学生時代は教師とは距離を置いていたタイプなので少し共感します。教師と仲良くフレンドリーに接している人たちとかわりと信じられなかったです。
最後に
本当に雑多な感想になってしまいましたが、ここまで読んでいただいてありがとうございます。
話は変わりますが、今まで〈小市民〉シリーズを初め数多くの米澤先生の作品も掲載されてきたミステリーズ！が2021年2月号をもって休刊となってしまいました。
ミステリーズ！読むわよ
— yuu (@i_cecream2012) 2021年2月14日
最終号なのがさみしい… pic.twitter.com/JOsfSjylBt
新文芸誌が刊行されるそうですが、やはりさびしいです。
今までありがとうございました。
