こちらの記事はyuuという名前でnoteに公開していたものなんですが、noteを全く使いこなせておらず、ブログに集約させようと思いお引越ししました。
もし万が一目にしたことがある、という方がいたら同一人物ですのであしからず。
※現在noteの記事は非公開になっています。
※2019年11月2日執筆のものを見やすく調整しました。内容はほぼそのままです。
はじめに
2019年10月31日、まさに世がハロウィンで盛り上がっているこの日。
米澤穂信先生原作の「Iの悲劇」の読書会に参加してきました。
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毎年パーリーピーポーに巻き込まれたくない私は極力この日は外出を控えているのですが、米澤先生の新刊の読書会と聞いたら行くっきゃねえぜ…...!ということで、会場ではカオナシのごとくなることを覚悟しつつ定時ダッシュをキメてはるばる御茶ノ水へ。(渋谷じゃなくてほんと良かった!!)
会場は御茶ノ水にあるワテラスコモンというとてもオシャンなビルです。写真は撮るの忘れました。痛恨のミス。
受付で名乗り、サイン会の順番を決めるくじを引きます。
そう、なんと今回は読書会のあとにサイン会があるのです!!
しかも先生の著作だったらなんでも良いという太っ腹ぷり。
ドキドキしつつくじを引き、番号は……
70番台!ガッデム!
全部で75番までだそうなので下から数えたほうが早いですね。こういうところの引きが逆に異常に強い私。嫌な予感はしていた……。
気を取り直して会場に入ると中はざっくりこんな感じ。
壇上は先生のお席なので、図はメガネの先生を表してます。ベイ○ックスではないです。
1つのグループにだいたい6人くらい、全部で12のグループに分かれています。7つ目のお誕生席には主催者側のスタッフさんが座り、話を振ってくれたり質問したりしてくれます。私のテーブルは大学生の方でした。わ、若い!
あと写真okだったハロウィン的なオブジェ。
こんな感じのムーディなライトで会場は照らされておりました。
米澤先生入場
そして19:00になりとうとう待ちに待った先生のご入場。入口を見つめながら盛大な拍手をする私。
あれ、でもみんな入口のほうを見ていない……?後ろ……?
上の図で言うと私はパイプイスの並んだ壁際のテーブル、しかも席自体も壁際だったんですが、先生がそこの壁際のパイプイスからおもむろに立ち上がり壇上へと向うではないですか。
わたし、めちゃくちゃ近くにいたよ???ぜんっぜん気が付かなかったよ???
まじかーもっとガン見しておけば良かった。これを書いている今も「くそぅ、くそぅ」と後悔しています。
そんなマリアナ海溝並みの深さの後悔を抱きつつ、それどころではない問題が勃発。
先生が仮装をしていらっしゃる。
そう、実は今回のイベントはハロウィン開催ということもあり仮装ok、というかむしろ推奨されていました。しかしやはりというかなんというか。私を含め本格的な仮装をしている参加者はほぼ皆無。
いや、だって、急にそんなパーリーピーポーみたいなことしろと言われても……。
なんて思っていた自分が恥ずかしい。先生はちゃんと仮装をされていた!
イラストで恐縮ですが、思い出せるかぎり先生の仮装はこんな感じでした。
私には先生の背後に後光が見えたんです。異論は認めます。
ブラウン神父の仮装かな、さすが先生渋い。なんてことを思いつつ、まさかこれが後の伏線となろうはこの時は思ってもみなかったのです……。
ここでちょっと言い訳。自分は仮装しなかったんですが、私がいつも連れ歩いているソウルメイト、ねんどろいど奉太郎くんとえるちゃんには自作のハロウィン衣装を着せてました。ええ、いわずもがな〈古典部〉シリーズのキャラクターです。
チキン野郎すぎてテーブルに出すことはできませんでしたが、この子たちをずっと鞄の中に忍ばせていたわけです。
そこで声を大にして言いたい。私は間接仮装をしていたと!
読書会スタート
というわけでとうとう読書会スタート。19:10~20:00の約50分の間「Iの悲劇」の面白かった点、興味深かった点についてグループ内で話し合い、共有しましょう、ということでした。
終始穏やかな感じでトークは進み、思っていたよりも気を張らずに雑談のような感じで話すことができました。心配していた私の中のカオナシが顔を出すこともなかったです。良かった良かった。
さて、ここでもう一つのメインイベントがやってきます。先生が各グループを回って直々にお声をかけてくださる、というものです。
先生が座るのはもちろんスタッフさんが座っていたお誕生席。何を隠そうほぼ私の席の隣です。
米澤先生が隣に、手を伸ばせば触れそうな距離にいらっしゃることなんてそんなことありえます?それがありえたんです。
私たちのグループは後半のほうだったので、散々喋った先生はのどが渇いていたらしくペットボトルのお水を両手で飲んでました。かわいい。
米澤先生とのお時間は3分。ガチガチに緊張してここでまさかの私の中のカオナシ登場か!?と思われたところで、別の参加者の方が私が提示していた疑問を先生に質問してくださいました。
いや、自分でしろよ……と思われていたことでしょう、すみません。
万願寺の名前が雑誌掲載時と変わっているのはなぜか?ということだったのですが、これは最後の質疑応答でも同じ質問が出ていたのでそちらで詳しく紹介します。
最後に各グループの代表者がまとめを発表し、質問があればここで、とのことでした。危うく私が代表者になりかけましたが同じ質問が別のグループから出たので華麗に回避。グループの別の方が質問したいことがあったそうなので代表として発表してくれました。
最後の質疑応答は箇条書きでまとめたいと思います。細部はもしかしたら違うところもあるかもしれませんがご容赦ください。
質疑応答
Q. 万願寺の名前が雑誌掲載時と変わっているのはなぜか?
- 雑誌掲載時は垂水という名前だった。
- 雑誌掲載時にしっくりきていなかった。雑誌掲載の時のほうがもっとシニカルさがあったが単行本にするにあたりそのシニカルさをとった。単行本の万願寺は自分の思いはともかくまっすぐさを持つ人物。
- ちょっと面白く、固い名前にしたかった。
- 夕食に「万願寺とうがらし」が出てきた時に思いついた。
- 今後米澤クラスタの間で万願寺とうがらしが必須アイテムになる予感……。
Q. 作品を書くにあたって取材などはしたのか?
- 先生ご自身が鉱山町の生まれ。石が採れる時は美空ひばりがやってきたり栄えていたが、石が採れなくなると一気に人がいなくなる。それを間近で見ていたのでそれが元になった。
Q. 白い仏の終わり方について
- 雑誌掲載にはオカルティックな解決はつくが実際には解決されていない。ミステリ的な解決は単行本でしたかった。
Q.蓑石のモデルはあるのか?
- 特にモデルはない。
- 地方というのはどこも同じ顔に見える。「何県なのかわかりゃしない」という「どこでもこんな感じだよね」というのを出したかった。だから作中ではあえて「何県」というのは出さなかった。
Q. 「王とサーカス」でも「Iの悲劇」でも「悲劇」という言葉出てくる。何か意識されたのか?
- 「他人の悲劇に対する距離のはかり違い」が王とサーカス。「Iの悲劇」の悲劇はむしろ当事者だから少し違う。
- 「これは悲劇だ」と当事者ではない人が言い出すのはおかしみがある。他人の悲劇を横から悲しむというのは本来おこがましい。
この質問で珍しく先生は長考されていました。
そんな珍しい御姿を見ることができて質問者に感謝。最後に「一言では言えないから小説を書いている」とおっしゃていたのが印象的でした。
その他(箇条書き)
ここからは私の汚いメモに走り書きがあったものの、どういう流れでこの話になったのか不明なものについてまとめます。
- 残った1組を追い出して終わり、にしてしまうと変なので残り3組で崩壊した、ということにした。
- 「無職多すぎ問題」雑誌掲載時はやけに「男性無職」が多かった。
- 登場人物に特定のモデルはいない。
- 暗いだけではなくユーモアを取り入れたかった。「浅い池」はそのもの。
まとめ
質疑応答が終わりここで本当に最後の最後、先生からのまとめです。
「Iの悲劇」は社会派だ、とよく言われるけれど決して社会的なテーマをうたったわけではなかった。
結局ずっと予算のことしか言っていないし、予算が動機のミステリ。
そこに気づいてもらえたら嬉しい。
この話の次の日に万願寺が出てくるかどうか、先生にもわからない。
ただ、おそらくは翌日も普通に仕事に行くだろうし今後も仕事を続けていくだろう。
終章のドライアイスのところはSF考証の高畑さんに計算をしてもらった。たったの50gで良いと言われた。(あくまでも理想的な実験環境での話)
サイン会
さて、待ちに待ったサイン会!の前に仮装の伏線回収したいと思います。
先生の仮装は実は死神だったらく、市販品なのでパッケージの写真はそうでもなかったのに実際来てみるとVネックがとても深かったそう。ご自身で神父みたい、ともおっしゃってました。あとはホグ○ーツの先生とも……。
ブラウン神父と誤認した私はあながち間違っていなかった。
その後70番台という業を背負った私は1時間くらい待ち……先生にサインしていただきました。
スニーカー版の「氷菓」!
じゃじゃーん
家宝です。家宝にします。
最後に
長々と書きつらねてしまいましたが、ここまで読んでいただいてありがとうございます。
今回はやはり講演会などとは違い、読者と先生との双方向のやりとりがあったためかいつもより先生との距離が近かったような気がします。
とても貴重な会でした。ありがとうございました。